・ローマングラス について
ローマングラスというのは、ローマ帝国時代につくられたガラスのことです。
ローマ帝国は紀元前27年~紀元395年に栄えました。
この時代に「吹きガラス」の技法が発明され、ガラス器の大量生産が可能となりました。
そしてこの時代につくられたガラス器は、ローマ帝国の強大な流通網シルクロードを渡り広がって行きました。
すべてのローマ遺跡や、イスラエル、シリア、レバノン、イランの中東地方や、アフガニスタン、パキスタンの同時代の遺跡からは、多くのローマングラスが出土しています。
時代の移り変わりの中、破損の為、廃棄や奉納品として地中に眠ったローマングラスは、何百年という時間をかけてガラス成分と土の同化現象や風化現象を起こしました。
多くのローマングラスは、白っぽい銀色の膜でおおわれるような変化(銀化現象)を見せますが、湿度、温度など様々な要因で風化現象を起こし、紫、緑、赤、金、黄色といった玉虫色に変化したものもあります。
多くの遺跡が乾燥地帯にあることも、現象を起こす要因のひとつと言われています。
そしてなお、土の中だけ変化を起こすので、空気中で変化(風化変色)することはありません。
これらの美しく輝くローマングラスは、割れた瓶や壺の破片として発掘されることがほとんどなので、発掘した破片の中から美しい部分を切り出し、アクセサリーとして加工しています。
もちろん、割れずに瓶のままの状態で発掘されるものもありますが、それらは博物館行きです。
イランのササン朝時代(紀元200年~紀元600年頃)に作られ世界に輸出されたガラス器は、正倉院の宝物品はもちろん、天皇陵、京都の上賀茂神社、玄界灘に浮かぶ沖の島からも出土しております。
2000年も時を刻んだローマングラスの魅惑的な輝きと、2000年も前に世界に広がっていったガラス器のロマンを小さなガラスの破片から見えてくる、そういう楽しみ方ができるのもアンティークビーズの面白いところですね。